私は神奈川在住なので、神奈川県民から見たスケジュールを書き出してみます。ちなみにチケットはすべての大会、イベントにおいて無料です。
主要大会チャート図
まず、神奈川県内の高校がどのようなスケジュールで進んでいくのかチャート図にしてみました。地区大会から全国大会へ進む場合、日本のどの地域であっても必ず年をまたぎます。

2月~3月
神奈川県定通芸術祭 演劇の部開催
定通芸術祭とは定時制および通信制で学んでいる学生が参加する文化系のイベントです。演劇部も参加し、舞台を披露します。
同様のイベントは全国で行われているらしいので、神奈川県外に住んでいても居住地域に定時制か通信制の高校が存在し、なおかつ演劇部が活動していれば彼らの舞台を見られる機会があるかもしれません。
ちなみに定時制もしくは通信制の演劇部はこのイベントにしか参加できないわけではなく、全日制の高校に交ざり地区大会に参加することも可能です。
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春季全国演劇研究大会(春フェス)のチケット予約受付開始
春の一大イベントの入場整理券予約受付が始まります。往復はがきで応募すると日程が印刷された返信はがきが戻ってきて、それを整理券として入場が可能になりますが、席に空きがあれば整理券がなくても入れるようです。ただ、確実に観劇したいなら応募しておいた方がいいでしょう。詳細は
全国高等学校演劇協議会のウェブサイトで発表されます。
3月~4月
各地区の春季発表会開催
春季発表会は地区、あるいは県の演劇連盟が主催するイベントです。多くの場合、コンクール形式ではないので順位はつきません。
このイベントに参加した学校は秋の地区大会にも参加することがほとんどですが、演じる舞台は春と秋とで違うことも多いです。それと、春季全国大会同様、"春フェス"の略称で親しまれているので混同しないように注意が必要です。
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春季全国演劇研究大会開催(春フェス) ビッグイベント
春の(春季)全国大会、もしくは春フェスと呼ばれ、直近のブロック大会で全国大会出場校の次点になった学校が参加する大きなイベントです。非常にレベルが高く、出場校ごとに地域の特色が出た舞台を見ることができます。
開催地は各都道府県の演劇連盟が立候補する形で決められるので、気楽に見に行けるかは運次第といえるでしょう。全国高等学校演劇大会(全国大会)と違い、順位がつくことはありません。
6月
全国高等学校演劇大会(全国大会)のチケット予約受付開始
全国大会は当然、チケット(整理券)必須であり、確実に見るためにはここで申し込まなければなりません。春季全国大会同様、往復はがきで応募という形を取らせるケースが多いです。詳細は
全国高等学校演劇協議会のウェブサイトで発表されます。
各校の文化祭公演開催
7月
関東高校演劇サマーフェスティバル(サマフェス)のチケット予約受付開始
東京の高校演劇界隈における夏の風物詩、サマーフェスティバルのチケット予約が始まります。受付はオンラインのみで、詳細は
公式サイトで発表されます。
全国高等学校演劇大会開催(全国大会) ビッグイベント
全国大会は全国高等学校総合文化祭の一環として行われる、いうまでもなく高校演劇最大にして最高の大会です。前年度のブロック大会で選出された学校が参加します。
春季全国大会とは異なり順位がつき、上位校は8月に行われる全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演にて、国立劇場のステージに上がることになります。
総合文化祭の開催地は47都道府県の持ち回りで決まるため、高校演劇に興味を持ったタイミングで居住地域での開催となったらかなりのラッキーといっていいでしょう。
全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演のチケット予約受付開始
前年度の秋の地区大会から始まった"高校演劇の一年"を締めくくる、総合文化祭優秀校東京公演のチケット予約受付が始まります。ほかのイベントと違い、チケットぴあ、またはイープラスを通じて申し込まなければなりません。詳細は全国高等学校文化連盟のウェブサイトで発表されます。
8月
関東高校演劇サマーフェスティバル(サマフェス)開催
サマーフェスティバルは東京のシアター1010という劇場で行われる、独立したイベントです。関東大会出場校の次点校が参加するほか、地元足立区の中学校から集まった中学生の合同チームも出場します。
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全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演開催 ビッグイベント
総合文化祭優秀校東京公演は最優秀校を含む全国大会の上位校のみが参加できるイベントで、高校演劇をすごろくゲームにたとえるならここが"あがり(ゴール)"です。毎年、国立劇場で二日間にわたって行われます。
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9~10月
『青春舞台』の放送(NHK Eテレ)
番組名を正確に記すと"青春舞台"の後ろに放送年が西暦で入ります。全国大会に出場する演劇部のドキュメンタリーに加え、全国大会最優秀校の舞台がノーカットで放送されますが、ドキュメンタリーと舞台はそれぞれ放送日が分かれているので、視聴したり録画する際は要注意です。
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地区高等学校演劇発表会(地区大会)開催
全国大会、そして国立劇場への道程は秋の地区大会から始まります。地域によっては夏に行われることもある[1]ので、見に行こうと思い立ったらすぐにでも地区や県の演劇連盟が運営しているサイトなどにアクセスし、例年、いつ頃大会が開催されているのかを必ずチェックしてください。
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11月
神奈川県高等学校演劇発表会(県大会)開催
地区大会を勝ち抜いた学校が集う県大会。当然のごとく、地区大会よりも平均的な質は上がります。
ただ、あくまでも個人の感想ですが、そこはかとなく県大会まで来られたという達成感が漂っている気がするので、どの演劇部もなにも成し遂げておらず、緊張感に満ち溢れている地区大会の方が好きですね。
演劇部の数が少ない地域だと、地区大会=県大会のところもあるようです。

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12~1月
関東高等学校演劇研究大会(関東大会)のチケット予約受付開始
全国大会出場校を決める関東大会のチケットは必ず発行されるとは限りません。会場の規模などによって地区大会や県大会と同様に入場自由ということもあります。私が行ったときは開催場所が東京だったせいか、まずネットで見たい学校ごとにQRコードを取得し、会場でそのQRコードを係員に見せてチケットを発券と複雑なことをしていましたが……。
大会の詳細は関東高等学校演劇協議会のウェブサイトに掲載されるので事前に確認してください。
関東高等学校演劇研究大会(関東大会)開催 ビッグイベント
関東大会は都および県大会を勝ち抜いた学校が集まるハイレベルな大会です。全国大会出場校が決まるという高揚感と緊張感、そして満員の観客が醸し出す期待感が合わさった場内の雰囲気は"最高"の一言。
関東大会だけではなくブロック大会すべてが、ある程度の見に行きやすさとレベルの高さを兼ね備えており、初めて見に行く大会としてはある意味理想です。
ちなみに関東大会について、理由はわかりませんが高校演劇の世界では本来、中部地方である、新潟県、長野県、静岡県、山梨県もなぜか"関東"でくくられ、出場校が多くなってしまうので二カ所にわけて行われます[2]。
関東を含めたすべてのブロックは以下の通り。

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上記以外に開催されるイベント
文化祭公演以外の自主公演
集客力に自信がある学校なら劇場やホールを借りたり、そこまでのレベルじゃなくても自校の視聴覚室などで公演を打つ演劇部は少なくありません。
学校で行われる公演だからといって一般人は観劇できないわけではなく、ツイッターで部員が宣伝しているのであれば見ることは可能でしょう。また、全国大会出場が決まっている演劇部が壮行公演を行うこともあります。
自治体やホールが主催するイベント
神奈川県主催の高校演劇関連のイベントということだと、県内強豪校が集まるマグカル・ハイスクール演劇フェスタがよく知られています。都道府県には芸術関連の予算が下りていて、それを使うために役所は芸術振興という名目でイベントを行うはずなので、どこに住んでいてもこのような催しを見つけられる可能性はあるでしょう(名前はだいたい、○○演劇フェスティバルか○○演劇祭)。
複数の学校が共催している(?)イベント
行ったことがなく、詳細についてまったくわからないのでクエスチョンマークをつけましたが、私立高校の演劇部だけが集まる神奈川県私立高等学校演劇発表会というイベントがあります。以前は劇場のウェブサイトで広報されていたようですが、ここ数年は情報がまったく表に出てこないんですよね。
おそらく、そこそこの規模で開催されているんだけど誰も広報しないため、一般人に存在が認知されていない高校演劇関連のイベントは全国各地に山ほどあると思われます。
観劇の条件がいいのは春と秋
並べてみるとほぼ一年中やっているといえる高校演劇のイベントですが、見に行きやすいのは圧倒的に"春"と"秋"です。それぞれ、地区の春フェス、そして地区大会という地区単位のイベントが存在し、自宅から近いところで複数開催されるからです。
したがって、高校演劇を見たい衝動に駆られたのが春と秋だったらラッキー。逆に、東京および地区大会と県大会が早々に行われる一部地域を除いて全国大会だけしかない夏と、ブロック大会が終わって演劇部の活動が一段落する冬だと困るかも。ですが、次の季節まで我慢すれば春は新生演劇部の胎動を、秋は全国を目指す彼らの挑戦を一から見られます。
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