このアンサーは主観で占められています。パンダ(白黒熊)しか見たことのない人間がクマ全体を語っているようなレベルなので、たっぷりと割り引いて読んでください。

当サイトに掲載されている質問は私が最初に回答ありきで考えたものばかりですが、この質問に関しては本当に謎で、正直、回答を公に募集したいレベルです。
高校生の男女がメインに出てくる学園ものに恋愛要素ゼロの作品ってありますか? 探せばあるのかもしれませんが、まったく思い浮かびません。
でも、高校演劇ではクラスで巻き起こるなんちゃらみたいな話はいっぱいあるものの、そこに恋愛がまったく絡まない。いや、台詞で多少は匂わせます。「誰々くん、かっこいい」とか「おまえ、あいつのこと好きなんだろ?」的な。でも、肝心の"誰々くん"や"あいつ"は出てこないし、その辺の話がテーマになることもない。
演劇部員全員、恋愛に興味がないなんてあり得ないはず。にもかかわらず、恋愛をテーマにした舞台が演じられないのはなぜか?
演劇部員なら簡単に答えを返してくれるのかもしれませんが、私は単なる観客なので以下のような理由を推測することしかできません。
- 男子部員がいないので物理的に無理
- 部内恋愛に発展するなどして部の人間関係が崩壊するから
- そもそも、そういう脚本がない
- 男女交際NGの学校が多い(NGなのに恋愛の話ってやばそうと顧問が忖度)
- 恋愛をテーマにした話は審査員に受けない
- 人を好きになるという演技の難易度が高い
- 実は結構あるけど、たまたま私が見ていないだけ
自分の学生時代を振り返ると、女子と手をつないで踊るフォークダンスの授業にて、手じゃなくて小指を差し出されていた私は、この辺の合わせ技なんじゃないかと長らく思っていたのですが、最近、10年ほど前にテレビで見たある若手女優の姿に謎を解く鍵があるのではないかと考えるようになりました。
恋を演じる女子部員は新垣結衣になれるか?
『恋空』という、ケータイ小説が原作の映画があります。主役はまだ新人だった新垣結衣と三浦春馬で、内容は高校生の悲恋系。私はこの手の話が苦手なのでまったく興味を持っていなかったのですが、ある日、テレビのチャンネルをザッピングしていたら、たまたまこの映画のメイキング番組が映し出されました。
画面を埋めていたのは"カットがかかったあとも役から抜けられず、しゃくり上げながら号泣し続ける"新垣結衣の姿。今でもよく覚えていますが、呼吸困難を併発しているような号泣っぷりで、もう大変なことになっていました。
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そのあと、チャンネルを変えたのでガッキーがどうなったのかわかりませんが、一ついえるのは三浦春馬と(多分)プライベートでは付き合うことなく今日に至っているということ。つまり、結局のところは役から抜けられたのです。
しかし、高校演劇で同じことが起きたらどうなるでしょう。恋愛をテーマにした舞台で、ヒロイン役の女子部員が稽古、ゲネプロ、本番と役を演じるたびにうまく抜けられずにいたら、おかしなことになりませんかね?
新垣結衣は『恋空』の撮影が終われば、すぐに次のドラマと映画が控えており、そこに三浦春馬はいませんが、演劇部員の場合、相手役と部活動以外でも顔を合わせるわけで、舞台をきっかけにプライベートでの関係性が深くなってもまったく不思議ではありません。
その結果、
- 部内で三角関係が発生
- 付き合い始めたけど結局別れて周囲が気を遣うはめに
- 逆に相手役の男子部員の方が入れ込んで暴走
- 主役の女子部員がフェロモン出しまくりで姫化し、ほかの女子部員がしらける
などなど、様々な問題が発生するのではないでしょうか。
演劇部の顧問はこうしたことを当然危惧しているはずで、他校の顧問と「あの既成脚本を演じさせるとやばいことになる」みたいな情報交換をしている可能性が高く、それゆえに恋愛をテーマにした話は除外されるのではないかなと。
恋愛を演じたとしてもうまくこなせない理由
ここまで高校演劇に恋愛なしと書き続けておいてあれですが、実は、恋愛をテーマにした話ではないものの、相思相愛の男女が出てくる舞台なら見たことがあります。相思相愛関係というよりも、淡い恋心を抱き合う男女といった方が正しいかもしれません。
講評で女性の審査員が女子のキャストに対してこんなことをいっていました。
高校生みんなにいえることなんだけどさ、ほかの演技はうまくできるのに、恋愛の演技はうまくないよね。照れちゃっているっていうか、相手のことが好きっていう気持ちが伝わらないんだよ。
聞いたときはまあ確かにそうだなと思いましたが、今考えてみると別の捉え方があるんじゃないかなと。
演劇部員は照れていたのではなく、あえて一線を引いていたのではないでしょうか。上にも書きましたが、役に入り込みすぎて『恋空』の新垣結衣化した場合、面倒なことになる可能性大なわけです。下手すればいろんな意味で人生変わることもあり得ますよ。プロでもないのに人生まで賭けるのは嫌なのでは? また、感情のコントロールがまだ未熟な高校生にとって、
演技で相手を真剣に好きになれ
と
相手を真剣に好きになれ
を完全に区別するのは難しいと思います。心のどこかでうまく分けられない不安があったから、危機回避のために深入りを避けた、つまり表面的な演技に終始したのであれば、それは十分理解できることです。
そしてうまく演じられそうにないと容易に想像がつくから、恋愛をテーマにした話はやらないというのも十分考えられる話ですね。
ついでに書いておくとミステリもない!
高校演劇には恋愛もの以外にもう一つ、なかなか出てこないジャンルがあります。
それはミステリ。
私の過去の栄光はキャリアは『金田一少年の事件簿』のクイズ本を書いたところから始まっているので、ミステリをテーマにした作品があったら嬉しいんですがまだ見たことはありません。
高校生が犯罪をテーマにした舞台を上演しちゃまずいだろうという倫理的な判断なのか、それとも単純にミステリの脚本を書くのが難しいっていうだけなのか、はたまた別の理由があるのかわかりませんが、一度見てみたいというのが正直なところです。
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私自身の話で恐縮ですが、以前、映画『ソロモンの偽証』を見たとき、「こんなに高校演劇に向いているミステリはそうないな」と思い、また、殺人事件を描くのは無理としても日常の謎をベースにすればいけるんじゃないかなということで、なんとなく高校演劇でミステリをやるならこんな感じ――というイメージは持っています。似たようなことを考えている高校演劇関係者もいるでしょうし、いつか、どこかの大会で目にする機会があるかもしれません。
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